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対ロシア外交に必要な、対外発信と日本国内の理解

文責/HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作

◆安倍首相の対中国発言

シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で安倍首相が「アジアと世界の平和を確かなものとするため、これまでにも増した積極的な役割を果たす」と発言、またアメリカのヘーゲル国防長官も中国を念頭に「米国は見て見ぬふりをしない」と明言するなど、中国に対して包囲網の形成が進みつつあります。

オバマ政権に対しては、アジアへのリバランスの本気度を懸念する声がありますが、この会議の成果はおおむね評価されているようです。

◆日本とロシアの連携

日本としては、対中包囲網形成の際にロシアとの関係をいかに有効に保つかということは非常に重要であると考えられます。

しかし、特に現在はウクライナ問題もあり、日ロ友好推進をアメリカは快くは思わない状況にあります。また、日本国内においてもロシアとの連携強化が訴えられるのは極めて稀です

しかし、情報筋によると「ここ数週、ロシアと中国との間の大規模な武器売却の話題が、にわかに注目を集めている」とのことで、ロシアの軍事技術が中国に流れることは非常に由々しき事態であるといえます。

中国にとって、ロシアの軍事技術はとても獲得したいものでしょう。

結局、孤立を深めた両国が接近しているわけですが、日本としては、この両国があまりに深く結びつくことは、日本のみならず国際社会にとって非常に憂慮すべき事態であることを訴え続ける必要があるでしょう。

◆日本の対ロシア戦略

幾分トーンダウンしたとはいえ、アメリカの言論はロシアに対して厳しい意見であることは変わりありません。

できれば日本がアメリカとロシアの仲介にたち、両者の対話が実現するよう、G8の枠組みを利用するなど(G8の維持も含め)努力すべきではないでしょうか。

相互不信の中で状況がエスカレートすることが懸念されます。ただ、ロシアと中国は決して蜜月関係にあるわけではありません。

プーチン大統領の本音は日本との関係強化を望んでいるはずです。

「我々は話し合う準備が整っている。日本の用意ができているかどうかはまだ分からない」とプーチン大統領が5月24日発言したかと思えば、またプーチン大統領の側近であるロシアの下院議長が来日し、「北方領土問題を巡って日本側と協議する可能性を示唆」したと報じられています。
(テレビ朝日http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000028093.html

ロシアは今経済が非常に厳しく、ロシアの産業強化には日本の力が必要なのです。

日本にとっても、中ロ接近を防ぎたいということもありますし、ロシアからパイプラインを敷設するなどし、安い値段で天然ガスを輸入することができればとても大きなことであります。

◆ロシアとの平和条約締結と対中抑止力

さて、ではロシアとの平和条約締結に必要な北方領土問題について、返還は4島同時になるのかというと、それは分かりません。

ロシアのプーチン大統領がいかなる提案をしてくるか予断を許しませんし、今政府はどのラインで妥協できるのかを探っているのかもしれません。

しかし、私は日本国内のロシアに対する理解度が不足しているのではないかと感じます。政府は、日本国民のロシアへの理解を高めるための発信を増やすことが必要です。

またロシアとの友好関係の重要性を政府がしっかりと国民に訴えておかなければ、北方領土問題の解決にあたる交渉において、両国が同意に至ることができないことを懸念します。

対外的に対ロシア関係の重要性を訴えるのと同時に、日本国内においても同様の努力を重ねておくことが、ロシアとの平和条約締結と対中抑止力の向上にとって非常に重要なことであると思います。

そが 周作

執筆者:そが 周作

幸福実現党 政務調査会 都市計画・インフラ部会長

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