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中国に「国連安保理常任理事国」の資格はあるのか

文/政務調査会チーフ 小鮒将人

◆世界中から批判を浴びる中国の覇権主義

幸福実現党は、立党以来一貫して、中国の軍事的な拡張に対して警鐘を鳴らし続けて参りました。

立党直後の総選挙では逆に、親中を掲げる民主党が圧倒的な支持を得ていましたが、2014年の現在、習近平体制に入り、中国の本心が明らかになるにつれ、私たちの訴えにご理解をいただくようになりました。

そして、日本だけでなく、中国はその周辺各国とも問題を引き起こし、非難を浴びています。最近報道されているところだけでも以下のとおりです。

(1)南沙諸島のフィリピン海域であるジョンソン南礁において、中国が突如周辺の埋め立てを始めた。
(2)ベトナム海域において、中国海洋石油が、大規模な掘削作業を開始。多くのベトナム市民が激昂し、ベトナム国内の中国系企業を襲撃。
(3)台湾では中国との「両岸サービス貿易協定」が実質的に中国の台湾支配へつながると主張した学生たちが国会を占拠し、その白紙撤回を求める。
(4)スペイン裁判所は、チベット虐殺の容疑で江沢民前国家主席らに対して逮捕状を出した。

これ以外にも、中国の覇権主義に対して、明確な批判が続々と行なわれています。

◆集団的自衛権の容認は当然の事

安倍総理は、去る5月15日に記者会見を行い、集団的自衛権の容認を進めることを国民に対して発表しました。

これは戦後一貫して、東アジアの平和を維持してきた日米同盟をより一層深化させるものです。そして、アジア太平洋地域における中国の軍事的脅威が高まっている中、平和を守るために必要な判断であります。

最近のオバマ大統領の判断を見る限りアメリカは、「世界の警察官」としての役割を放棄し、東アジアからも徐々に撤退の方向が見える中、日本としてはどうしても日米同盟の絆を強める必要があります。

現在、日中間での問題となっている尖閣諸島についても、米国側からは「日米同盟の適用範囲」との明言がある以上、日本としても、相互の信頼感を深めていくことが必要です。

今回の安倍総理の判断は東アジアの平和のためには、当然のことであります。

◆国連憲章に掲げる「正義」とは?

さて現在、世界から大いに警戒され始めている中国は、国連の「安全保障理事会常任理事国」の地位を占めています。国連は、第2次大戦終結前後に設立された機関であり、その精神は「国連憲章」によって明らかにされています。その目的については、以下のように掲げられています。

第1章第1条

「国際の平和及び安全を維持すること。(中略)平和を破壊するに至るおそれのある国際的の紛争を平和的手段によってかつ、正義及び国際法の原則に従って実現すること」

第1章第3条

「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない」

「国際連合」(United Nations)とは元々は第2次大戦の戦勝国による組織であり、依然として日本やドイツを敵国として定義しているものの、少なくとも現時点において、国際的な平和を維持することがその目的であることは間違いありません。

しかし、冒頭に掲げたように、数々の「平和を破壊するに至るおそれのある国際的な紛争」を引き起こしている中国という国家は、国連憲章の精神に全く反した行為を行なっています。これをこのまま容認してよいのでしょうか。

国連憲章に掲げている「正義」とは、一体どのようなものなのでしょうか。現時点において、中国に対してほとんど批判が聞かれないのは、なぜなのでしょうか。疑問が残ります。

◆日本は多額な国連分担金を支払う必要はあるのか

残念ながら、我が日本も中国と「紛争」の可能性が出ております。しかも、その原因は中国側の覇権主義によって一方的に作られたものです。

中国は、国連加盟国の中でも「安保理常任理事国」として、最も中枢の立場に位置しています。国連とは、国際的な平和を希求し、その実現のために活動する機関である以上、尖閣諸島付近や、フィリピン、ベトナムの海域で中国が行っている「平和を破壊する活動」は、許されるものではありません。

本来ならば、これらの暴挙に対して、明確に国連内部で自浄作用を働かせなければなりません。

日本としても、国連の理想を是としているが故に、アメリカに次ぐ第2位の「国連分担金」約300億円を毎年支払い続けているのです。このまま、国連が中国の覇権主義を止められないのであれば、日本はその理由をはっきりと伝えつつ、分担金の支払いを中止してもよいのではないでしょうか。

◆中国は、国連常任理事国の資格なし

国連憲章の掲げる理想と180度異なる中国の覇権主義は、国際社会が連携して食い止めなければなりません。そのためには、まず中国に対して、明確に自分たちが行っていることは間違っている、とメッセージを発さなければなりません。その一番分かりやすい手段が「国連安保理常任理事国の資格剥奪」です。

なぜ、中国が常任理事国となっているのでしょうか。それは第2次大戦において、アメリカの同盟国であったために当時の中華民国が「戦勝国」とされ、現在の中華人民共和国が、1971年にその資格を引き継いだ形になっているからです。

しかし、すでに戦後70年近い歳月が経とうとしており、ソ連が崩壊し、国際的な環境も大きな変化を遂げました。そして、中国自身が国際的な紛争の原因となる時代がやってきました。

そして、中国という国家は、基本的な人権が完全に保障されているわけではなく、共産主義社会を標榜する言論、思想信条の自由のない社会でもあります。そして、その勢力を今、日本にまで拡大しようとしているのです。

日本としても、自国の国防のさらなる強化を図るとともに、中国に対しては明確に「その行為は間違っている」とメッセージを発しつづける必要があります。幸福実現党は、そのためにも今後ともさらなる活動を展開してまいります。

こぶな 将人

執筆者:こぶな 将人

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