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MICE誘致で日本に更なる発展を! 

文/HS政経塾第4期生 窪田真人

◆MICE(マイス)とはなにか?

皆様、MICEという言葉はご存知でしょうか。

MICEとは「Meeting(企業等の会議)」、「Incentive Travel(報奨・研修旅行)」、「Convention(国際会議)」、「Exhibition/Event(展示会・見本市)」の頭文字を集めたもので、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総称を指します。

一般の観光とは異なり、MICEはグローバル企業や学術系の団体の関係者が世界各地から訪れる為、大型団体による長期滞在に繋がり易く、コンベンション施設や展示ホール、ホテルなどの宿泊関連施設、周辺の観光施設や交通機関など広範囲において、多大な経済効果をもたらす点に特徴があります。

2009年の観光庁の調査によるとMICEの先進国である米国では、その経済効果はGDPの約3%に匹敵する規模(約46兆円)だと言われている程です。

さらにMICEはプロモーション効果が高く開催周辺地域が活性化、国際化するというメリットがあります。

実際に2008年に開催された北海道洞爺湖サミットでは、サミットの様子が全世界に配信され、国内外に開催地の認知度が高まりました。その結果ツアーの催行が相次ぐなど、サミット開催後の国際観光振興に大きな効果を生み出したのです。

まさに多大な経済波及効果を与えるMICEは、これからの地域経済、国家経済活性化の為に重要な役割を担うと言えるでしょう。

◆日本におけるMICEの実態

2009年の観光庁の調査によると、MICE全体の訪日外客数は年間約100万人、市場規模は9200億円、そのうち訪日外国人の消費額は約1200億円と推計され、全訪日外国人の消費額約1兆600億円の約9分の1を占めるまでに成長しています。

国際会議協会(ICCA)の統計によると、2010年の国際会議の開催状況で日本は世界第7位に位置します。しかし都市別では、国内最多の東京が68件で世界第27位、アジアではシンガポール、台北、北京、ソウル、香港、上海、クアラルンプールに続く第8位という状況です。

さらにここ数年、中国、韓国が大幅に件数を増加しており、日本は遅れをとっています。(DIAMOND ONLINE 2011年12月5日 「MICEの底力」参照)

そんな中、2013年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」において、「2030年にはアジアNO.1の国際会議開催国としての不動の地位を築く」という目標が掲げられました。具体的には、東京をはじめとする国内7都市を世界トップレベルのMICE都市とすべく、マーケティング戦略の高度化、MICE誘致能力・体制の強化などを通し、都市の育成を進めようとしています。

なお国としては国内外へのプロモーション、ステークホルダーの連携促進などの支援を行う予定です。

◆日本が進めるべきMICE誘致の方法

シンガポールは90年代後半から国家戦略的にMICEを積極的に誘致しており、07年にパリを抜いてMICE開催件数都市別1位に躍り出ました。10年4月には国際会議展示場やホテル、ブティック、カジノなどエンターテインメント施設を含む巨大複合商業施設、マリーナ・ベイ・サンズを開業するなど、ビジネスイベント後の娯楽機能も含めたMICE施設の整備に力を入れています。

また24時間運用のハブ空港を有している点も大きな強みとして挙げられます。こうしたインフラにおける利便性の高さがMICE誘致における大きな強みとなっています。日本はシンガポールのインフラづくりから学ぶべき点が多くあると言えるでしょう。

また日本独自の強みを積極的に世界にアピールすることも重要です。日本には風光明媚な自然や、京都に代表される史跡、豊かな物産や食文化、温泉といったMICEを誘引する質の高い魅力的な要素が数多くあります。

ビジネスイベント後においてこうした観光資源は大変重視されます。実際に山形県、宮城県など地方都市が特色を活かし、MICE誘致を実現している例も見受けられます。

このように日本は積極的なインフラ整備と日本独自の強みによってMICE誘致に積極的に取り組み、地域経済、国家経済活性化に努めていくべきでしょう。今こそMICE誘致を新たなるチャンスと捉え、世界における日本のプレゼンスを高めていくべき時であると考えます。

窪田真人

執筆者:窪田真人

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