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STAP論文撤回は、果たして妥当なのか?

文/幸福実現党山口県本部 政務調査部長 石橋昇

過熱したSTAP報道も最近になって沈静化しつつあります。STAP論文を撤回すべきかという話もありますが、果たしてそれが妥当なのかを考えてみたいと思います。

◆引用が、即捏造・盗作とは限らない

理系の大学で学ばれて、科学の論文等を読まれた方なら分かると思いますが、おおよそすべての論文で他者の文献や論文からの引用があります。

特に論文の序論の部分では、過去の研究事例や知見が多く引用されております。論文では、その内容が他者に引用されてこそ、価値があるものだとみなされることもあります。

引用を自分の見解や発見と偽れば捏造や盗作です。引用部分が自分の書いた文章の多くを占めない限り(私も法律家ではないので、どれだけの分量まで占めてもいいかは分かりませんが)、引用と比較しながら自分自身のオリジナルな見解や発見を述べているのであれば、正当な主張になると思われます。(もちろん、引用にあたっては著作権等の法令順守や社会ルールを守った正当な引用であることは言うまでもありません)

論文に限らず、文筆一般で引用は許されています。不正な引用はいけませんが、細かな引用の不手際をもって、その内容や結論全体を捏造と即断定することに、違和感がありました。

STAPの投稿論文には不適切な引用があったかも知れませんが、STAPの研究成果は彼女らの研究グループのオリジナルで発表したものです。小保方博士も、引用不備が発端で起こった騒動については、謝罪しております。

◆多くの科学の理論や発見には、その検証に多く時間がかかっている

いま正しいと受け入れられている科学の理論や発見の多くは、発表当初は仮説だったものが多くあります。実験で検証され、理論と現象が整合して初めて受け入れられます。

逆に、得られたデータや現象を突き詰めていくと、このような仮説を設けることによって上手に説明できるということもあります。このようにして見つかった発見や発明も数多くあります。

STAPの共著者である理化学研究所副センター長の笹井先生の記者会見では、下記のように述べています。

「この現象を存在しないと思っていたらならば、共著者に加わっていなかったかもしれない。STAPとして僕らが呼んでいる細胞は、今まで知られていない細胞であることは確か。有望であるかも知れないが、論文を撤回し検証すべきである」

ただ、投稿した論文を撤回することは、国際的にはその結論が間違いであったとみなされます。STAPの検証にはさらなる時間が必要であり、より高いレベルの検証を目指して、撤回はしないで、不適切箇所の修正や、追検証の論文や投稿を出してもいい話かとも感じました。

◆研究者たちが静かに研究に没頭できる環境を

STAPを巡る騒動について関係者の会見も済みました。騒動を収束させ、小保方博士や共同研究者の先生方に、落ち着いてしっかりと研究に没頭できる時間を戻してあげたいのです。

STAPは、生物学の常識を根底から打ち破る画期的な発見であるかもしれず、そのもたらす恩恵は計り知れません。この素晴らしい卵を育み、世界に誇る科学技術が、我が国から発信されることを強く祈念いたします。

石橋昇

執筆者:石橋昇

幸福実現党山口県本部 政務調査部長

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