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東日本大地震から3年――被災地の復興事業と課題 連載第3回

文/幸福実現党 総務会長兼出版局長 矢内筆勝

《福島の放射線の実態》

東日本大震災から3年目の被災地の現状を報告してきました。今回は福島県の放射線の実態をお伝えいたします。

◆「避難指示区域」内の放射線レベルを計測

前回までレポートした通り、福島県の復興の現状は、他の2県(岩手県、宮城県)と比べると大きく遅れています。その理由は、福島原発の事故によって拡散した放射線の「影響」です。

特に、現在、福島第一原発から西北0~50キロ圏内に設けられた「避難指示区域」内は、放射線の年間積算線量が年間20ミリシーベルトを下回らないという理由で、全域にわたって住人の居住が禁じられています。

http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji

前回も紹介しましたが、その「避難指示区域」は、三つの区域に分類されています。

(1)「帰還困難区域」:5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、年間積算線量が50ミリシーベルトを超えている地域。

(2)「居住制限区域」:年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域。

(3)「避難指示解除準備区域」:年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された区域。

今回の視察で、私はこうした「避難指示区域」内の南相馬市と浪江町で放射線レベルを計測してきました。

その結果は、南相馬市の「避難指示解除準備区域」内で0.2マイクロシーベルト、年間の被ばく線量1.75ミリシーベルト。浪江町の「避難指示解除準備区域」内で0.24マイクロシーベルト、年間の被ばく線量2.1ミリシーベルト 。

さらに同町の「居住制限区域」と「避難指示解除準備区域」の境で0.38マイクロシーベルト、年間の被ばく量は3.32ミリシーベルトでした。

http://box.c.yimg.jp/res/box-s-pvff6c7is323i4sfpz4llswnvi-1001?uid=7b01d0f6-fa60-4e74-9a00-7373e11154e2&etag=e0ae299b1394751584307334

つまり、この日の私の「避難指示区域」内の測定結果は、いずれも政府が「危険である」とする「年間20ミリシーベルト」の10~7分の1に過ぎませんでした。

◆国際的な基準よりも高く設定された日本の基準

ちなみに、日本人一人当たりが自然界から受ける放射線は年間・全国平均で1.48ミリシーベルト、CTスキャン(全身、一回)の検診で浴びる放射線は6.9ミリシーベルトです。現地の実際の放射線レベルが、いかに低いかがご理解頂けると思います。

それに加えて、そもそも「年間20ミリシーベルト」という設定基準自体が、国際的な基準よりも極めて高く設定されていることを、知らなければなりません。

国際学術組織である ICRP(国際放射線防護委員会)が設定した一年間に浴びても人体に問題ない放射線量は、「平時」は1~20ミリシーベルト、「有事」は20~100ミリシーベルトです。

その中で、日本政府が採用しているのは、「有事」の一番厳しい20ミリシーベルト。つまり、国際基準の5倍も高いレベルで「避難指示」基準が設定されているのです。

つまり、通常の国際基準なら「安全宣言」を出しても良いレベルであるにも関わらず、政府がその基準を意図的に5倍も引き上げて採用している結果、現在も「避難指示区域」内の11の市町村(1150平方キロメートル)の8万人余りの人たちが、自宅から離れて仮設住宅生活等の避難生活を強いられているわけです。

これが現在の福島県の現状です。

◆福島県の放射線量の評価

さらに、最近の研究では、放射線は大量に浴びると放射線障害を起こすなど体に害があるものの、逆に、低いレベルの放射線を浴びると、体や健康にさまざまなよいことが起こるということがわかってきています。それを「ホルミシス(刺激)効果」と言います。

ミズーリ大学の生命科学の教授トーマス・D・ラッキー博士らの研究によれば、自然放射線の10倍から100倍くらいの放射線(年間に換算して10~100ミリシーベルト程度)を浴びると、体に害があるどころか、逆に細胞が活性化し、健康に良い影響があるということが分かってきています。

実際、国内でもラドン温泉(放射能鉱泉)で知られる玉川温泉や三朝温泉には、古来から多くの人が「湯治」に訪れ、ガンの治療等に効果があると医学的にも認められています。

福島県の大部分の地域の放射線量は、その段階のレベルにも達しておらず、いずれにしても、体に影響を与えない「極めて低いレベルの放射線量」と言って良いのです。

その意味で、「目に見えない放射線」への過剰な恐怖を煽り、風評被害を撒き散らし、福島の復興を止めてきた、民主党政権とマスコミの罪は、極めて重大と言わざるを得ません。

今後、私はそうした福島の“放射能汚染”の「嘘」と「誤解」を払しょくし、一日も早く福島県を真に復興させるべく、全力を尽くして参る所存です。

やない 筆勝

執筆者:やない 筆勝

幸福実現党総務会長兼出版局長

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