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天安門事件24周年――中国共産党幹部の腐敗の実態(1)

1989年6月4日に起きた中国の天安門事件から間もなく24年となります。

あの「天安門事件」とは何だったのか?そして、天安門事件を引き起こし、世界に覇権を広げ続けている「中国共産党」とは一体何なのか?

今後、数回にわたって、その本質を探りたいと思います。

その悲惨な内情を知って頂き、一日も早い共産党一党独裁体制の崩壊と、その中で苦しむ13億の人々の解放、そして、中国が真の意味で、日本と友好関係と繁栄のパートナーシップを築ける「自由を尊重する民主主義国家」へと変貌することを願って――

「所得格差」が危険レベルに達した中国

中国国家統計局は、国民の所得格差の程度を示すジニ係数が2012年は0.474だったことを発表しました。(1/19 産経「中国『所得格差』危険水域さまよう ジニ係数12年ぶり発表」)

「ジニ係数」とは、国民の所得格差を計る指標で、ジニ係数の範囲は0~1となっています。0は完全な「平等」、1に近いほど格差が大きいことを意味します。

例えば、一人の王様がすべての富を独占し、国民全員が無一文とすると、ジニ指数は「1」になります。

繁栄発展する社会のために、切磋琢磨や自助努力の結果、適度な格差が生まれることは奨励すべきことで、自由経済の先進国ではだいたい0.35程度です。

日本のジニ係数も0.336(2010年度)であり、世界の先進国と比べても比較的格差の少ないレベルになっています。

一方、格差が拡大し、社会騒乱が多発する警戒ラインは0.4です。

中国の実際のジニ指数は、政府発表よりはるかに大きく、例えば、西南財経大学が実施した「中国家庭金融調査」の結果によると、2010年の中国家庭のジニ係数は0.61と、世界平均レベルを大幅に上回っています。(2012/12/11 人民網「中国家庭のジニ係数0.61 所得格差深刻」)

これ程までの大きな所得格差は、今までボリビア等の一部アフリカや中南米の諸国に限られていまいた。

ここまで所得格差が開いた理由は、一部特権階級への富の集中であり、「中国共産党一党独裁」の弊害そのものと言えるでしょう。

海外へ逃げる中国共産党幹部

現在、中国共産党の幹部の多くが、海外に移住したり、資産を逃がしています。

例えばこの20年で、中国の高官が約2万人も海外に逃亡、また約9兆6000億円ものお金を海外に逃がしました。これは一人当たり、平均12億円にもなります。

この海外逃亡のやり方は、第一段階は、まず自分の子どもを海外へ留学させて、足場をつくることから始まります。最近の10年では、約120万人もの中国公務員が、子どもを海外に出しました。

中国のトップ層はもっと率先垂範(笑)しています。中国共産党第17期中央委員会委員(中国トップの委員204名)の内、なんと9割の家族がすでに欧米に住んでいます。

本来ならば中国トップエリート層こそ、中国の未来に責任を持つべきですが、権力濫用で私腹を肥やし、挙げ句の果てに海外逃亡とは悲しい限りです。

中国の内情を知る高官ほど、中国という泥船から我先に逃げ出す姿は、中国の未来を強烈に暗示しています。

国家主席である習近平氏でさえも、姉夫婦の国籍はカナダで、弟はオーストラリア在住。娘はアメリカに留学させています。

また、2千億円もの資産を築いたとマスコミに暴露された温家宝元首相も、首相退任4カ月前の講演で、「どうか皆さん私をお忘れください。中国の皆さんも、海外にいる中国人の皆さんも、どうか私のことは忘れてください」と演説しています。(2012/11/23 ウォールストリート・ジャーナル)

温家宝氏も、心情的には「早く海外逃亡したい」ということでしょうか。

今日の中国では、家族と財産をすでに海外に移し、あとは本人がいつでも逃亡できるように外国のパスポートを持っている共産党幹部が多くいます。

特に移住先として圧倒的に人気が高いのが米国です。なぜなら中国の捜査機関がなかなか手を出せないからです。

例えば、高速鉄道建設の汚職事件で摘発された張曙光・元鉄道省運輸局長は米国に3軒の高級邸宅と2800億円の預金があると報道されています。

海外移住の実態は、米国側の発言でも裏付けがあります。ヒラリー元国務長官は、在任中のハーバード大での講演で「中国の9割の官僚家族と8割の富豪がすでに移民申請を出した。またはその意向がある」と述べています。

共産党幹部の汚職の実態

以上のように、中国の将来への悲観的観測と、汚職の追求から逃れるために、海外逃亡が後を絶ちません。

実際に汚職はたいへん多いようです。例えば2011年度に摘発された汚職官僚の数は14万人を超え、更に毎年増える傾向にあります。

このような事情から、胡錦濤氏は2012年秋の国家主席としての最後の共産党大会で「中国共産党の腐敗問題をしっかり解決できなければ、党にとって致命的なダメージとなり、ひいては党も国家も滅びる」と異例の発言をしています。

中国共産党幹部の腐敗が、文字通り「身から出た錆」となって、中国という国家を滅ぼしねない大問題となっているのです。

(文責・岐阜県本部副代表 河田成治)

河田 成治

執筆者:河田 成治

岐阜県本部副代表

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