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中小企業を苦しめる消費増税――参院選は「消費増税中止」を問うファイナル・ジャッジメント!

今回は「消費税」という税制そのものに潜む「構造的欠陥」について考察してみたいと思います。

消費税の問題点として、主に以下の3点、(1)逆進性、(2)益税、(3)消費不況を論じたいと思います。

(1)消費税の「逆進性」問題

「逆進性」とは、所得の低い人ほど消費税の負担が大きいことをいいます。

「逆進性」については、食品など特定の品目について税率を下げる軽減税率や、所得の低い人に多くの現金を給付する給付付税額控除等の対策が議論されています。

自民党と公明党は1月23日に与党税制協議会を開き、軽減税率は「消費税率10%への引き上げ時に導入を目指す」ことで合意しました。

しかし、軽減税率は適用の範囲の選定が難しく、食料品と言っても「キャビアやフォアグラまで軽減税率を適用するのか」「パンには軽減税率を適用して、嗜好品である菓子パンには適用すべきではない」と言った「線引き論争」が起こっています。

これに対して、読売新聞は1月19日の社説「軽減税率『消費税8%』で導入すべきだ」で、「(軽減税率の)適用対象の線引きが難しいとの慎重論もあるが、コメ、みそ、しょうゆ、新聞など、対象品目を絞り込めばよい」と主張しています。

なぜ、軽減税率が「コメ、みそ、しょうゆ、新聞」だけなのか?なぜ、食品に加え、新聞に軽減税率を適用すべきなのか?新聞業界の自分勝手な論理だと言わざるを得ません。

たとえ、いかなる線引きをしようとも、軽減税率の対象選定には恣意性が入るため、日本経済に大きな歪みをもたらします(特定の生産者にだけ補助金を与えるのに等しいため)。

したがって、「逆進性」問題の解決のためには、軽減税率ではなく、消費税増税そのものを中止することが最善策なのです。

(2)消費税の「益税」問題

「益税」とは、消費者が払った消費税が、納税されないで販売事業者の懐に入ることを言います。

その理由は、年間の売上が1000万円以下だと消費税を納めなくても良いためです。

「益税」については、2004年度から消費税が免税される「免税点売上高」が3000万円から1000万円と引き下げられました。免税点売上高が3000万円の時代は、消費者が支払った消費税(益税)で懐を肥やす悪質業者云々と盛んに喧伝されました。

消費者が納めた消費税を免税事業者がピンハネしている。これが「益税」問題ですが、恣意的な徴税を禁じた憲法84条等に違反すると20人の市民が訴えを起こしたことがありました。

「消費税は憲法違反である」と訴えた、この国家損害賠償請求事件について、判決が出ています。(1990.3.26東京地裁民事第十五部判決)

裁判長はこの訴えを破棄し、消費税は憲法に違反していないとの合憲判断でした。この判決内容が、驚くべき内容です。

「消費税法は、事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとはいえない。」――つまり、消費税は誰が負担すべきなのか、特定できないということです。

日本は特殊な分野を除いて公定価格はありません。あるのは「物価」であります。その「物価」に消費税を転嫁できるかどうかは卸業者との、また消費者との力関係で決まります。

弱い事業者は、消費税を物価に転嫁できません。強い事業者は転嫁できます。これは、消費税の担税者(税を負担する者)は、時に消費者であり、時に事業者自身ということになります。

消費税とは、ある時は間接税となり、ある時は直接税というわけです。ほとんどの書物には消費税は間接税であると書かれていますが、課税の制度設計が現実には実現していないという重大な欠陥が露呈しています。

※「間接税」とは、担税者と納税者が別。「直接」税とは、担税者と納税者が同じ。

もう一つ、消費税で特筆すべきは、その滞納額が著しく多いということです。

平成23年度の新規発生の国税滞納額は、全体で6,073億円です。この内、消費税が3,220億円となっています。実に50%を超えています。

これは一番大きい滞納額となっています。消費税を納める事ができない事業者が非常に多いのです。

デフレ経済の中で、立場の弱い中小企業は、消費税を物価に転嫁することができず、そのほとんど、あるいは一部を自腹をきって負担しています。

すなわち、消費税は事実上、直接税たる「中小企業税」だと言えます。

日本の75%の事業者が、赤字経営です。赤字企業にも容赦なく課税されるのが消費税です。借金経営の事業者が消費税を自ら負担しているのです。これが10%に増税されたら、一体いかなる事態となるのでしょうか。

赤字経営の中小零細事業者に対してその担税能力の差を顧みることなく、一律に課税される消費税は、もはや原始租税形態の一つ、人頭税と同じ残酷税といっても過言ではありません。

(3)「消費不況」の問題

政府の試算では、消費税率10%で、年収500万円の4人家族の場合、消費税分で年11万5千円、社会保険料などを含めて、年間33万8千円の負担増になるとされています。およそ年間で1カ月分の収入が減る計算です。⇒【幸福実現News第42号】http://www.hr-party.jp/new/2013/34538.html

消費増税で、年間で1ヶ月分も使えるお金が減れば、消費者は消費を減らすため、大きな消費不況が起こり、倒産や失業者が激増し、その結果、自殺者も急増する危険性があります。

参議院選挙の争点は「消費税増税」です。7月の参院選は、消費税増税を止めることができる最後の国政選挙です。

幸福実現党は、中小企業、そしてそこで働かれている方々を守るために、断固、自公民の野合による横暴な消費税増税を中止して参ります。
(文責・幸福実現党 岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦)

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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