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日本政府は「テロに屈しない決意」を示せ──安倍首相は「一国平和主義」から脱皮せよ!

アルジェリア東部で天然ガスの関連施設がイスラム武装勢力によって襲撃され、日本のプラント建設大手の「日揮」の日本人関係者を含む外国人が拘束された事件で、17日からアルジェリア軍が人質の救出作戦に乗り出しました。

情報が錯綜していますが、最新情報では、アルジェリア軍はこれまでに人質となっていた外国人132人のうち100人近くとアルジェリア人573人を解放したということです。(1/19 NHK「アルジェリア軍 外国人約100人解放」)

しかしなお、施設の一部には武装勢力が立てこもり、依然として日本人1人を含む7人が人質に取られているとも報じられています。(1/19 時事「邦人1人が依然人質か=犯人側、施設の一部爆破し抵抗-アルジェリア」)

こうした事態に際し、安倍首相は18日未明、アルジェリアのセラル首相と電話会談し、アルジェリア政府による軍事作戦について、「人質の生命を危険にさらす行動を強く懸念しており、厳に控えていただきたい」として軍事作戦の即時中止を要請しました。(1/18 FNN「安倍首相、アルジェリア首相と電話会談 軍事作戦の即時中止要請」)

今回の邦人を含む人質事件は、新生安倍政権にとって初めての「有事」ですが、その対応は「タカ派」と呼ばれている安倍首相にして、従来の自民党政権と変わらず、国際的には顰蹙を買いかねない言動です。

こうした安倍首相の対応を受けて、昨日1月18日、矢内筆勝より「テロに屈しない決意」を求める緊急声明【アルジェリア人質事件への政府対応を受けて】が発表されました。⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/33900.html

安倍首相の人命尊重の立場については理解できますが、世界のリーダー国家・日本の宰相として、国際社会の平和・安全のために「テロの拡散を防ぐ」という視点が欠けていることは大きな問題です。

欧米では「テロに屈しない」「テロリストの要求は絶対に飲まない」「『人命優先』でテロの要求を飲めば、更なるテロ被害を誘発する」というのが常識であり、「テロの人質になったら、死ぬ覚悟を持て」と教育している国さえあります。

テロ行為は単なる「犯罪行為」ではなく、「戦争行為」です。日本はこうしたテロ行為に対して、国家として「善悪正邪の判断」を明確に示すべきです。

こうした単純な善悪正邪について、勇気を持って毅然たる判断ができないのであれば、中国や北朝鮮が侵略して来た際、安倍首相は果たして毅然たる正義の判断ができるのか疑問です。

国民やマスコミからの非難を怖れて、あいまいな言動をすることを「政治」と考える平和ボケの政治家達はもはや去るべきです。

1977年に発生した日本赤軍によるダッカ日航機ハイジャック事件において、当時の福田赳夫首相は「人命は地球より重い」として、犯人に譲歩。「超法規的措置」で過激派メンバーを釈放、多額の身代金を支払い、日本は欧米各国から猛烈な批判を受けました。

今回の安倍首相の対応は「古い自民党的思考」「戦後レジーム」「一国平和主義」から一歩も抜け出していません。

今回の日本政府のテロに対する弱腰姿勢を見て、世界のテロ組織が「日本人は脅せば屈する」と考えたならば、今後、さらなる日本人のテロ被害を招くばかりか、テロ組織を勢いづかせるだけです。

テロ行為が世界で横行する中、日本政府も、海外に赴く日本人も、国内の日本人も「侍の精神」を持って「テロに屈しない決意」と覚悟を持ち、日本は世界のリーダー国家として、世界に「正義の秩序」を打ち立てるべきです。
(文責・黒川白雲)

黒川 白雲

執筆者:黒川 白雲

前・政務調査会長

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