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「原発ゼロを目指す日本」vs.「原発超大国を目指す中国」

政府が急速に「原発ゼロ」に向かっています。(8/24 中国新聞「原発ゼロ目標明記へ 政府検討、工程表も」⇒http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201208240135.html)

政府は、27日開催した「国民的議論に関する検証会合」で原発に関するパブリックコメント(以下パブコメ)に集まった集計結果を示しました。パブコメは、2030年における原発比率について、7月2日から8月12日の間、国民から意見を集めました。

意見内容を検証会合事務局が2030年の原発割合に沿って分析すると、「0%」が87%、「15%」が1%、「20~25%」が8%、「そのほか」が4%でした。(8/27 朝日)

幸福実現党支援者の皆様からも沢山の正論をパブコメにご投稿頂きましたが、これらは左翼団体らが組織的に「原発ゼロ1000万人投票」運動を進めて来た結果であると言えます。

今回、パブコメの他に注目されたのが「討論型世論調査」です。「討論型世論調査」とは、通常の世論調査とは違い、国民同士の議論や専門家の話を聞き、その前後で意見が変化したかを調べる社会実験であります。

事前の予想では、専門家の話を聞けば「原発ゼロ」支持は減るとの見方でしたが、結果は逆で、最も多かった「0%」支持は、討論前の32%から討論後は46%に大きく増えたのです。

これについても、「討論型世論調査」から電力会社社員は排除する一方、左翼が会場に大量動員するなど、「民意」とは言えない状況にあります。

しかし、左翼マスコミは、このことについて「『原発ゼロ』の選択が一時の感情などではなく、賛否多様な意見を踏まえ熟慮した末の決定を意味するものだろう」と指摘しています。(8/24 東京新聞「原発ゼロ熟慮の民意が表れた」)

世論調査をとりまとめた曽根泰教・慶応大教授も「国民が(電気代値上げや節電等の不利益、不便を)覚悟したうえでの選択」と指摘し、原発への懸念を深める世論は無視すべきでないとしています。(8/24 京都新聞)

政府はこれまで2030年の原発割合を「15%」とする案を軸に考えてきましたが、これらの結果を踏まえて将来の「原発ゼロ」をめざす方向で検討に入りました。(8/28 「政府、原発ゼロ検討へ 検証会合総括『国民が希望』」⇒http://www.asahi.com/politics/update/0828/TKY201208270707.html

しかし、今回の手法は、強い主張・意見を持っているごく一部の国民の声が大きく反映される傾向にあり、またマスコミが先行して醸し出した「脱・原発」の空気の中で、「原発推進」の意見を表明することが憚れる空気が支配していたことも事実です。

「原発ゼロ」は、必ずしも真の民意ではありません。なぜなら、国民に判断材料としての情報が十分に与えられていないからです。

例えば、「原発ゼロ」になれば、電気代は約2.1倍になると共に、エネルギー供給が不安定になり、景気の低迷、失業、産業の国外移転等が発生し、間違いなく日本経済は急降下します。

法則的にも、エネルギーの抑制はGDPの減少、国力の低下に直結します。地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算によれば、GDPは自然対比(原発維持した場合との比較)最大45兆円も減少します。

すなわち、原発ゼロになれば、日本の産業規模が約1割減少し、製造業を中心とする雇用も著しく減り、失業率が跳ね上がることを意味します。

また、化石燃料への過度の依存が進めば、ホルムズ海峡有事や中国の南シナ海支配が進めば、輸入がストップし、国家が立ち行かなくなる危険性が高くなります。すなわち、日本は「戦わずして負ける」状況に追い込まれます。

まさに、「原発ゼロ」は「亡国を目指す政策」であるにもかかわらず、日本国民は「原発ゼロ」に洗脳され、「集団自殺」へと向かいつつあります。

一方、中国の2030年前後のエネルギー計画はどのようなものでしょうか。

中国は、2012年3月現在稼働中の原発は15基で、建設中の原発は26基です。これは世界で建設中の原発62基の4割以上を占めています。

これに加え2020年までに、さらに約40基を新規建設することになっています。そして2035年までには、230基まで拡大する構想があります。(岩波ブックレットNO.834「中国原発大国への道」)

中国は日本の福島第一原発事故の後も、原発超大国への道を驀進しています。

中国が原発超大国を目指している事実。この事実は、日本こそが事故を経験した上で、世界一安全な原発技術を確立し、東アジア、世界の原発の安全のためにリーダーとして寄与することを要請しています。

日本は、原発を手放してはなりません。日本に世界から課せられた使命を放棄することは許されません。幸福実現党は、今後とも原発の必要性を訴えてまいります。
(文責・加納有輝彦)

加納 有輝彦

執筆者:加納 有輝彦

岐阜県本部政調会長

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