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中国経済の崩壊と、軍事力行使に備えよ!

中国史から見る、大帝国建設の要因

中国歴代王朝における統治の、本質を突いた言葉があります。

「実は治世とは好景気のこと、乱世とは不景気の別名なる事が多い」(『中国史:上』宮崎市定(岩波全書)p.79)

中国の大帝国と言えば、唐・元・清ですが、それぞれの時代で繁栄を築いた要因として「対外交易の発展」が挙げられます。

唐時代には燃料革命がおこり、鉄器の生産が拡大しましたほか、ペルシア人やアラビア人との交易が盛んに行われていました。また、元帝国時代には東西交流が活性化し、清帝国時代にはキリスト教世界との貿易が活発となりました。

経済の発展が、大帝国を支える権力機構と軍事力の維持を可能とする。この構図は現在も変わっておりません。

失速する中国経済とその要因

急成長を続けてきた中国経済のエンジンは、(1)通貨の低いレートと安い労働力、低い資源コストと言った「輸出中心の経済成長」と、(2)98年から導入された住宅制度改革をきっかけとする「土地バブル」の二つに集約できます。

中国は、これら二つの強力なエンジンによって、軍事費増強の「元手」を稼いでいきました。

しかし、「輸出中心の経済成長」を目指した戦略は、米国による元のレート切り上げ要求や、人件費の高騰、新興国の台頭による世界的な資源価格の上昇によって破たんしていくことが確実視されています。(4/4 ロイター「中国の安い製造コストは過去のもの」⇒http://goo.gl/Q5o2U

また、中国経済を力強くけん引してきた土地バブルも、崩壊が現実のものとなっています。(4/26 産経「不動産バブルの末期症状大幅な値下げ必至」⇒http://goo.gl/wEVgN

「汚職」と「輸出不振」は中国経済崩壊の歴史的要因

中国評論家の石平氏は「中国における不動産価格高騰の一因に、独特の『不動産開発=汚職利権』の構造上の問題がある」ことを指摘しています。(『中国経済崩壊の現場』石平(海竜社)p.29)

唐帝国の衰退は、玄宗皇帝が楊貴妃を寵愛するあまり、宦官など官僚の専横を許してしまうなど、現代の中国と共通しています。さらに、急成長の要因となった輸出が振るわなくなり、大打撃を受けるというパターンは清帝国と共通点があります。

その底流には、諸外国を蛮族と見なして「朝貢外交」を求めるという、華夷秩序と呼ばれる世界観が流れています。当時の清帝国も、大英帝国との貿易を「対等な立場での貿易」ではなく、「天子への朝貢」として認識していました。(前掲『中国史:上』p.528)

帝国主義全盛の時代とはいえ、こうした清国の「自国中心的な態度」が英国をして「麻薬を売ってでも利益を取り返す」という悪名高い「阿片貿易」を招き、国の崩壊を招いた事実は否めません。

また、現在の中国経済の発展は、日本や米国などが中国製品の輸入先となり、育成されてきたものです。にもかかわらず、「ipad騒動」や「高速鉄道事件」が示すような国家ぐるみの知的財産侵害を平然と行うなど、相変わらず「自国中心的態度」を改めておりません。

こうした中国政府の態度は、やはり諸外国に対して「朝貢」を求める中華意識を受け継いだものと言えるでしょう。こうした中国の態度に対して、国際社会からは「元の切り上げ」圧力が高まると共に、TPPによって中国包囲網が形成され始めております。

「軍事力による富の収奪」を封じるべく、「自主防衛・日米安保」の強化を!

過去、中国において発生した「帝国」は、どれも経済の衰退によって滅んでいきました。地政学的要衝である「辺疆地帯」を抑える軍事力を維持することが困難となり、異民族の侵入を許してしまったからです。

景気変動の波を乗り越える手段やアイデアを持たない中国において、このまま経済の衰退が続けば、政治の民主化要求や経済の自由化要求が高まり、「第二の天安門事件」が起こる可能性も少なくありません。

しかし、注意しなければならないのは「軍事力によって他国の富を収奪する」という手段がまだ中国に残されていることです。それは「核の威嚇」によってなされることが予想されます。

幸いにも、5月1日の日米首脳会談で対中防衛を視野に入れた日米安保の強化が合意され、一段と中国の核に対する抑止力が高まった形となりましたが、野田首相には、もう一段、憲法9条改正によって「自主防衛」と「アジア防衛の役割」を果たす気概を示すところにまで踏み込んで頂きたいところでした。

昨日、幸福実現党は「憲法を変えて日本とアジアの自由を守る!国民集会&デモ」を開催致しましたが(⇒http://goo.gl/GDILa)、中国による「核の威嚇」を中心とした侵略行為を未然に防ぐためにも、今後とも「自主防衛強化」や「日米同盟強化」といった国防意識を喚起して参ります。
(文責・HS政経塾1期生 彦川太志)

彦川 だいし

執筆者:彦川 だいし

HS政経塾第1期卒塾生/党政調会・外交部会

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