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無責任制度!石川県小松・能見地区「育鵬社の教科書逆転不採択!」

沖縄県八重山地区に続き、石川県の小松市、能美(のみ)市、川北町で同じ教科書を選ぶ小松・能美採択地区が、教科書改善の会(屋山太郎代表世話人)のメンバーが執筆した育鵬社の中学校歴史・公民教科書を市町教育委員会の採決結果に反して逆転不採択にしていたことが分かりました

この件について、9月21日の県議会予算特別委員会で宮元陸(りく)議員(自民)が追及しました。(宮元氏の質疑は石川県のホームページで動画で見れます。前半の約1時間強。http://p.tl/4IDO)

小松・能美地区では、7月20日に能美市教育委員会が採決の結果、5対0で帝国書院を採択すべきだと決定。しかし、一方で、21日に小松市教育委員会が4対1で育鵬社、22日に川北町教育委員会が5対0で育鵬社を決めて、26日の採択協議会に臨んでいます。

3市町のうち2市町が育鵬社を推したことで、採択協議会では育鵬社が選ばれるはずでしたが、なぜか、結果は不採択。

上記の議会の答弁を見ていると、宮元氏は、「喧々諤々の議論によって5対3で帝国書院になった」と発言。実際に、何対何だったのかと、竹中教育長に質問すると、「9対0で帝国書院の教科書に決まった」と返答。

宮元氏への報告と教育長の答弁は全くかみ合わず、何が本当なのか分からなくなるような場面でした。普通に見ていれば「何かある」と感じる答弁でした。

疑問は深まるばかりでしたので、石川県教育委員会に電話をかけてみました。竹中教育長が答えた、9人の協議会メンバーの名前と構成を聞きたかったからです。担当はTさん。

Tさん「協議会メンバーは2市(小松市、能美市)1町(川北町)が決めているので、県の教育委員会では分かりません」

私「竹中教育長が9対0という協議会結果を発言していたので、分かるのではないですか?」と、食い下がりますが、「構成員については市町に聞いてもらわないとわからない」と言うだけでした。話し方は丁寧ですが、話しは前に進みません。

何度も聞いていると、Tさんが、今回の教科書採択の経緯を話し始めました。

(1)一度、2市1町の地区採択協議会によって帝国書院の教科書に決まった。

(2)この採択協議会の決定について、各市町の教育委員会で採択したところ、能美市5対0で帝国書院、小松市4対1で育鵬社、川北町5対0で育鵬社が採択された。協議会と各市町の結果が全く食い違ってしまったため、

(3)再度、 2市1町の採択協議会を開いて帝国書院に決議。

(4)各市町の教育委員会では、帝国書院の教科書に決まった。

と、2回のプロセスがあったことを、Tさんは教えてくれました。

私「竹中教育長が答えた9人については、(3)、(4)のどちらなのか。(4)のメンバーは(2)とは変わったのかどうなのか。どのような構成なのか」という質問については、

Tさん「県の教育委員会では分からないし、責任、権限の範囲外だから分からない」

企業のカスタマーセンターへの問い合わせだったら、こんな返答は許されるのだろうか。お客様は黙って離れていくのだろうな……。

Tさんは丁寧ですが、疑問ばかりが頭に浮かびました。

そして、「では、県教育委員会が採択協議会を設置するとは、何をするのですか?」と、質問すると、

「県教育委員会は、採択協議会の地区割を決めます。後は、現地に任せます……」

採択協議会の設置=地区割り。それ以外はタッチしないので、後は現場に聞いてもらわないと分からないという姿勢。これでは、同じような問題は今後も起き続けると思います。

一体何が問題なのでしょうか?

「教科書無償措置法」(義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律)の(教科用図書の採択)第十三条第四項には、

採択地区が二以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない。」と定められています。

このように、複数の採択地区を決めて採択する仕組みは、「責任を曖昧にする仕組み」、「誰も責任を持たない『無責任』な仕組み」を生み出しています。

責任が県教育委員会にはなく、各市町にもありません。どこにも責任が見当たりません!

「小さな町村は独立してシッカリと教科書を調査できないからいくつかの市町村をまとめよう」という配慮から始まった採択地区制度。

そのような温情が甘えと無責任体質を生んでいます。

幸福実現党は過去にも、

八重山地区の育鵬社不採択は完全な違法行為。法治国家として大問題

育鵬社不採択は文科省「無効」と判断。沖縄県教委の勇み足。

ルールを踏みにじって暴走を続ける沖縄県教委

など、育鵬社の教科書採択問題について、追い続けてきました。

現状の法ルールの中できっちりと議論していくことは大切です。しかし、「広域採択制」という、中途半端なルールによって、現状、石川県小松・能美採択地区や沖縄県八重山採択地区での問題を引き起こしているのであれば、文科省は、責任持って新しい考え方を示さなくてはなりません。

大きな市も小さな町村も独立して、教科書を採択することに責任を負うべきです。ぜひ、責任の所在を明確にして、真剣勝負で臨んでいただきたいと思います。
(文責:小島一郎)

小島 一郎

執筆者:小島 一郎

幹事長代理

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