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【党首第一声】筋が通らない野党 VS 使い古された自民党

http://hrp-newsfile.jp/2019/3643/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

4日に発された各党の党首第一声では、憲法や消費税、年金についての主張が目立っていました。

ただ、内容は、3日の討論会ともかなり重なるので、この新たな発言を取り上げつつ、前回とは違う切り口を考えてみます。

結論を先に述べれば、野党の主張は筋が通らず、与党はもはや「使い古されてしまった」という印象でした。

(以下、各党首の発言はみな第一声より引用)

◆護憲の旗を掲げる共産党:日本国憲法成立には反対だったのに

第一声で、安倍首相は「憲法審査会では1年間で衆院で2時間あまり、参院ではなんと3分しか議論されていない」と指摘し、憲法についての議論を拒否する野党を批判しています。

いっぽう、野党で憲法を特に強調した共産党の志位委員長は、自民党の憲法9条の改定案を批判。

(一項・二項の後に)「前条の規定は自衛の措置をとることを妨げない」と書かれていることを取り上げ、これでは「9条2項の制約が自衛隊に及ばなくなってしまうじゃありませんか」と主張しました。

そして、米国の戦争に巻き込まれると煽りましたが、正当防衛にあたる「自衛の措置」を制約するのは、まともな発想ではありません。

自衛権は国連憲章でも認められています。

また、共産党が昭和21年に自民党主導の日本国憲法制定に反対した時は、自衛権が失われることを理由にあげていました。

当時、共産党の野坂参三氏は国会で(憲法案は)「我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危くする危険がある、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない」と主張したのです。

その頃、共産党が公表した「日本人民共和国憲法」(案)は「すべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない」と掲げていました。

この憲法案からみると、今の共産党の路線は真逆です。

◆立民党の消費税増税反対:理屈が幸福実現党のパクリ

立憲民主党の枝野代表は「日本の経済にとって、一番大事な6割を占めている消費が冷え込み続けていて、結局は社会の活力がどんどん失われている」として、10%の増税に反対しました。

その認識が間違っているわけではありません。

しかし、消費の冷え込みの原因をつくったのは、民主党でした。

民主党は、与党だった頃、自民党と公明党とともに3党で増税法案を成立させています。

本来ならば、「私達が日本の消費不況の元凶です」と頭を下げて国民に謝らなければいけません。

党首討論で「あの判断は間違っていた」と認めたわけですから、同じことを第一声で謝らないのは不誠実です。

そして、前掲の主張は、幸福実現党が2009年から言っていたことです。

立憲民主党は、ろくに反省もせずに、他党の主張をタダ取りしています。

なお、国民民主党の玉木代表にいたっては、自分たちが増税法案を成立させたことの反省の弁は一言もありません。

◆年金:共産党はあとさき考えず/維新はマイナンバーによる徴収強化

安倍首相は、雇用が増え、年金運用で成果が出ていることをあげ、年金はこれからも維持できることを強調しました。

これに対して、共産党は「マクロ経済スライド」の廃止を主張。

「減らない年金」を訴え、「年金積立金」を運用ではなく、給付にばらまくことを呼びかけています。

「年金積立金を株価のつり上げに使うんじゃなくて年金の給付に計画的に使わせようじゃありませんか」

今の世代と将来世代との給付のバランスを取るためのマクロ経済スライドを廃止するだけでなく、将来のために必要な積立金を今の世代にバラまくという、恐ろしい提言をしました。

現役世代の年金保険料は今の高齢者への給付金に使われているのに(賦課方式)、積立金まで配ってしまったら、将来の世代には何も残りません。

「高額所得者優遇の保険料の仕組みを正すことで、1兆円の保険料収入を増やしてまいります」と述べましたが、厚生年金と国民年金を足した毎年の歳出は50兆円程度なので、これで大盤振る舞いの穴を埋めるのは困難です。

なお、維新の会の松井代表は年金制度の大盤振る舞いを見直すことを提唱。

その主張には当たっているところもありますが、「マイナンバーカードというカードも普及させて、本当に必要な人に年金が届く、こういうシステムを皆さんと一緒に作り上げていきたい」と主張しました。

これは国民の財産を政府が監視する社会をつくる結果になりかねません。

◆幸福実現党の「九条改正」と「5%への消費税減税」が日本を救う

既成政党の第一声の訴えは、「おかしい」ものと「物足りない」ものばかりです。

憲法論においては、幸福実現党のように九条の一項・二項を含めた根本改正を訴えている政党はありませんでした。

「自分の国は自分で守る、この方向に向けて、私たち幸福実現党は憲法9条の根本改正いたします」(釈党首)

また、既成政党で消費税5%への減税を訴えている政党もありません。

「消費税を5%に下げたい。これが私たち幸福実現党のいの一番、日本経済復活のファーストポイントでございます」(同上)

山本太郎のれいわ新選組は、幸福実現党の立党時の「消費税廃止」を真似ていますが、「れいわ」はバラマキ政策とセットなので、そのプランを実施した場合は、昔の民主党のように、財政の計算がつかなくなり、「減税は無理でした。やはり増税します」と、有権者を裏切らなければいけなくなります。

「小さな政府・安い税金」とセットでなければ、消費税減税は裏付けのない主張になってしまいます。

また、年金に関しては、少子高齢化の中では先細りが見えているので、共産党のような「虫の良い話」は成り立ちません。

与党の年金維持論も、本当に必要な「給付と負担の適正化」に関しては口をつぐんでいます。

年金に関しては、まずは「小さな政府」の発想で、今の大盤振る舞いを正さなければいけません。

経済成長策や人口増政策(少子化対策と移民)も必要ですが、そうした難題をわかりやすく語るのは困難なので、選挙戦では耳障りがよい言葉だけが飛び交っています。

消費税減税による景気振興や、未来産業への投資、リニア新幹線による交通革命といった経済成長策や移民政策は、幸福実現党が立党以来、訴え続けてきた政策です。

これらの経済戦略なしに、年金論だけを単体で論じても「パイの取り合い」で終わってしまいます。

幸福実現党は、今後も、国防強化と、経済成長による日本の復活を成し遂げるべく、戦い続けてまいります。

【参照】

・産経ニュース「参院選第一声詳報 安倍晋三首相、自民党総裁 憲法『審議を全くしない政党を選ぶのか』」(2019.7.4)
・同上「参院選第一声詳報 立憲民主党・枝野幸男代表『生活を防衛する夏の戦いに』」(2019.7.4)
・同上「参院選第一声詳報 共産党・志位和夫委員長『安倍政治サヨナラの審判を』」(2019.7.4)
・同上「参院選第一声詳報 日本維新の会・松井一郎代表『徹底的改革で消費税上げずに教育無償化実現』」(2019.7.4)

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

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