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【野党公約比較】「消費税増税反対」の本気度は疑わしい

http://hrp-newsfile.jp/2019/3629/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆最後の国会論争 なぜ「消費税」を取り上げなかったのか

最近の野党は、「年金だけでは2000万円不足」と書かれた報告書を取り上げ、「自公政権では年金が危うい」ということを印象づけたがっています。

特に、党首討論では、年金をめぐる失言を引き出そうと躍起になっていました。

立民党や国民民主党、共産党などの年金政策にも「給付増のために現役世代の負担が重くなる」という問題があるのですが、国民は、そのプランの中身はわからないとタカをくくり、年金不安を煽ろうとしているようです。

これに関して、経済学者の田中秀臣氏(上武大学ビジネス情報学部教授)は苦言を呈しています。

「本当に10月の消費税率10%引き上げにストップをかける気があるのだったら、19日の国会での党首討論はその絶好の場だった」

「消費増税を論点にして、実施の是非を問うには最大の見せ場であったはずだ」

大事なテーマをわきに追いやってしまったので、田中氏は「政治的に消費増税を止める絶好の機会を、野党は自ら失った」と批判しています。

そして、(増税反対の)「本気度はあいかわらず極めて低い」と酷評しているのです。

◆立民党と国民民主党の問題点①:自分たちが増税を推進したのに、何の釈明もない

今の野党には、増税反対の熱意に乏しいという問題点があります。

それは、主な政治家の言動や公約からも見てとれます。

そもそも、「民主党」という名がつく二つの野党には、与党だった頃に増税に加担した議員がたくさんいますが、現在、増税反対を訴える折に、はっきりと釈明していません。

立憲民主党の枝野代表がその典型ですが、公約集(「立憲ビジョン2019」)をみると、不思議なことに、そこには、過去、増税を推進したことの釈明もなければ、「増税凍結」に転じた理由の説明もないのです。

◆立民党と国民民主党の問題点②:バラマキで増税に転じた過去に学ばず

そして、年金・医療・介護などの個人負担に上限を設ける「総合合算制度」、年金の最低保障機能の強化、国公立校の授業料の半額削減、奨学金の拡充、農家への戸別所得保障など、お金のかかる政策を並べています。

こうした立民党のプランと「増税凍結」は矛盾します。

また、国民民主党の公約も、「児童手当増額(18歳まで対象、月15000円)」「低所得の年金生活者に月5000円の給付金」「家賃補助(年収500万円以下に月1万円)」といったバラマキ政策を訴えています。

要するに、立憲民主党と国民民主党は、国民に福祉の大盤振る舞いを公約し、「消費税増税はしません」と言っています。

こうしたスタンスは、2009年の民主党公約とあまり大差がありません。

この二党は、福祉の大盤振る舞いを約束し、最後に増税政党に転じた、昔の経験から何も学んでいないのです。

◆共産党:民主党を超える迫力満点のバラマキ政策

国民の歓心を買うためにバラマキ政策を並べるのは、共産党も同じです。

その代表的な政策を並べてみます。

・「減らない年金」にする、低年金を底上げ(※底上げ=増額を公約)
・「マクロ経済スライド」を廃止
・公費1兆円の投入で医療の自己負担分を減らす
・教育無償化と奨学金の拡充
・中小企業の賃上げ支援を1000倍に

かつての民主党以上のバラマキ政策なので、これで消費税の増税に反対といわれても、いま一つ現実味がもてません。

結局、どの政党も「お金をもっと配ります。皆さんのために使います」と言いながら、「消費税は上げなくても大丈夫」と言っているのが現状です。

◆野党公約を見る限り、「消費増税反対」の本気度は疑わしい

こうした政策をみていくと、野党には「本当に消費税の増税をやめさせる気があるのだろうか」という疑問が湧いてきます。

バラマキ政策をどんどん増やしていけば、昔の民主党のように「お金が足りないので、増税が必要になりました」と言わざるを得なくなるからです。

共産党は「金持ちから取ればいい」といいますが、徴税を強化すれば、お金持ちは日本から海外に逃げていくだけです。

「大企業から取れ」といっても、グローバル企業は、日本よりも税金の安い国に拠点を移すなど、様々な対策を取れます。

政府の思い通りに「取れる」とは限らないので、こうした算段は「取らぬ狸の皮算用」で終わっても不思議ではないのです。

(※程度が違えども、こうした発想は、立民党や国民民主党とも共通している)

◆「小さな政府」「安い税金」でなければ増税反対の筋は通らない

しかし、幸福実現党は、立党以来、「小さな政府」と「安い税金」を目指し、消費税増税に反対してきました。

そして、消費税5%への減税、法人税1割台への減税を訴えてきました。

税率を下げる以上、無駄な予算を廃し、勤労意欲を損なうような給付金のバラマキはやめなければいけません。

そうしなければ、筋が通らないからです。

バラマキ政策が恐ろしいのは、「一度始めたら、やめられなくなる」という点にあります。

一度、お金をもらった人は、それをあてにするので、後で廃止するのは難しく、選挙のたびに、今まで以上のバラマキが求められるようになります。

そして、今の野党の公約のように、選挙のたびに、バラマキの規模がどんどん大きくなるのです。

こんなことを繰り返していては、消費税増税の凍結や、5%への減税などは不可能です。

幸福実現党は、本気で消費税増税に反対し、5%への減税を目指しているからこそ、バラマキ政策による人気取りに反対してきました。

今後も「小さな政府、安い税金」の旗を下ろさず、消費税5%への減税を訴え続けてまいります。

【参照】

・田中秀臣「枝野幸男の『自慢』が文在寅とダブって仕方がない」(産経iRONNA 2019/6/25)

・立憲民主党HP「立憲ビジョン2019」

・国民民主党「新しい答え 2019」

・日本共産党「希望と安心の日本を 参院選にあたっての日本共産党の公約」(2019/6/21)

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

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