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マイナス金利と増税による実体経済の収縮で日本は崩壊する

HS政経塾 スタッフ 赤塚一範

◆日銀のマイナス金利

日本銀行がマイナス金利の導入を決めました。これは、インフレ率2%を目標とする黒田総裁率いる日銀の苦肉の策と言えるでしょう。

しかし、政府が消費増税の態度を変えない限り、この日銀の努力は長い目で見て日本経済にとってマイナスに働くことになります。

マイナス金利とは、極端に言えば「100万円貸したら1年後に90万円しか返ってこない」ということです。とは言え、それは日銀の当座預金に預けられたお金だけです。

日銀の預金口座には銀行しか預けることができないので、私たちが直接マイナス金利に関わることはありません。では、どの様に経済にマイナスを与えるのか見ていきましょう。

◆マイナス金利は資本主義の精神を傷つける

金融の大切な役割は、「個々人の余っているお金を集め、そのお金を必要としている事業者に貸し、その事業が成功し収益を上させること」です。

そして、その収益で元本と利子を返す、これこそが資本主義の根本原理です。これは古代にも一部存在しました。

小麦を収穫し、自分で食べる分と、来年の種まきのために貯蓄しておく以上に収穫があった場合、それを不作で種不足で困っている人に貸出し、収穫の時に利子をつけて返してもらっていました。

このように、金利とは、事業の収益があって初めて存在できるものです。発展のあまりなかった中世ヨーロッパで利子を取ることが禁じられていたことは単なる偶然ではないでしょう。

仮にマイナス金利が民間での貸し借りで起ったとすると「100万円を借りて、何もせずに10万円遊びに使って90万円返すことが許される」ということです。

これでは、何の事業も生まれませんし、資本主義の原理そのものを崩壊させるでしょう。

◆マイナス金利の目的

マイナス金利の目的は、民間経済によりお金が流れるようにすることです。

銀行はこれまで、銀行が持っている国債を買うことで、市場にお金を流してきたのですが、銀行はそのお金を使うことなく、日銀の口座に置きっぱなしにしていました。

当座預金残高は黒田総裁が就任した2013年3月に大体50兆円程度だったのが、大規模な金融緩和の結果、2015年12月には、なんと250兆円を突破しています。銀行はここに預けていれば利子を貰うことができたのです。

しかしこれからは、単に預けただけでは逆にお金が減ってしまうので、銀行は、貸出すか、国債を買うか、株を買うようになり、効果はどの程度かは分かりませんが、少なくとも以前よりお金が流れるようになるでしょう。

◆無理な金融緩和と消費増税がバブルを発生させる

このようにお金が株に流れ、現在低迷している株価を支える事もマイナス金利の目的の一つです。

しかし、単に株価を支えたいがために、実際に収益が上がっていない所にお金が流れていくだけならば、バブルを発生させます。

「金融緩和はバブルを発生させ、バブルを支えるには更なる金融緩和しかないが、最後には大きな崩壊が訪れる」というのは、ハイエクの理論です。

現在の日本は、金融緩和でアクセルを踏み株価を支える一方、消費増税で実体経済を萎えさせるということをしています。

そして、株価を支えるために更なる金融緩和をするという状況で、まさにハイエクの理論が当てはまっています。

◆減税により発展を

ハイエクの結末を回避するために、日本は消費税増税を延期・減税し実体経済を活性化させなければなりません。実体経済とは、「消費」と「投資」のことです。

具体的には「食品、生活用品、家、車、電化製品や教育、宅配、マッサージなど様々なサービス」など消費財と「ビル、工場、機械、店舗」など資本財のことです。

消費増税をし、消費が冷え込めば、消費財だけでなくそれを生産するために必要な資本財も増えません。今、品川や渋谷など都市部が再開発されていますが、こういったことを増やしていかなくてはなりません。

このように目に見える財やサービス、建物などが増え、質が向上すること、これこそが経済発展です。実体を伴わない経済発展は、単なる貨幣の注入であり見せかけでしかありません。

ギリシャ神話には、あまりにも金が好きで、触るもの全てを金にする能力を手に入れたミダス王の話があります。初め王は手に触れた石が金になるのを見て大喜びしました。

しかし、パンやブドウ酒、最後には彼の娘までもが金に変わってしまい、王はこの能力を憎みます。現代の貨幣は金でありませんが、同じことです。

実体経済の首を絞め、貨幣ばかり注入する経済の末路はギリシャ神話が示した通りです。貨幣ばかりあっても何の意味もないのです。

このような悲劇に陥らないために一刻も早く消費増税延期を決め実体経済を活性化させるべきでしょう。

赤塚一範

執筆者:赤塚一範

HS政経塾スタッフ

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