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混迷のアベノミクス、無意味な負担軽減策、減税こそが経済を活性化させる

文/HS政経塾・スタッフ 赤塚一範

◆暗雲たちこめるアベノミクスの将来

アベノミクスの将来に暗雲が漂っています。

一時は2万円を突破した株価は、連日下落、9月8日に発表された4月~6月期にかけての実質GDP成長率は前期比0.3%減であり、マイナス成長を記録しました。

特にGDPの約6割を占める消費支出の成長率が0.7%減、企業の設備投資は、0.9%減と、未だ消費増税の影響から脱しきれていないことを示す結果となりました。

◆懸念の多い財務省案

このような中、17年4月に消費税率を10%に引き上げるため、負担軽減策をどうするかで政府与党が揺れています。

これまで自民党、公明党は負担軽減策として生活必需品に対する「軽減税率」を模索していました。

それに対して、今回、財務省が提案した「日本型軽減税率制度」は、マイナンバー制度を利用して一人当たり年間4000円を上限に、増税分を還付する方式であり、軽減税率を主導してきた公明党からは非難が殺到しています。

また大手新聞などマスコミ各社も、突然の「財務省案」に対する懸念を連日に渡って報道しています。

懸念は主に、(1)軽減税率に比べ痛税感がある、(2)政府に買い物情報を把握されてしまうなど監視社会への不安、(3)マイナンバーカードを常に所持しなければならないことから生じる不便さやリスク、(4)制度導入に伴う企業・政府の莫大な設備投資負担、などが言えるでしょう。

◆軽減税率か還付方式かの議論は本質的ではない

確かに、財務省案は非常に多くの問題点を抱えています。

しかしだからと言って「軽減税率」が良いわけでもありません。消費増税の負担を軽くするため自民・公明両党は軽減税率の導入をこれまで検討してきました。

財務省案も「軽減税率制度の基本的な特徴を兼ね備えつつ、軽減税率制度の課題を克服するというのが中核的なコンセプト」と麻生財務相が言うように、制度的に財務省案と軽減税率と大きく違いますが、導入に至る基本的な考え方は、同じです。

◆安倍政権は政府が経済を動かせると考えている

しかし、問題の本質は「軽減税率か還付方式か」ではなく、「増税によって非効率な政府の権限をこれ以上増やして良いのか」という点にあるのです。

マイナンバーを使った還付案は、国民を政府の監視のもとに置く可能性のある恐ろしいシステムですが、軽減税率にしても、政府が軽減税の適用範囲を決める裁量を握ってしまいます。

どちらの制度を採用しても結局「国民の裁量を奪って政府の権限を強める」のです。

これまでの安倍政権の経済に対する政策を見ると「賃上げ要請」「マイナンバー制度の推進」「軽減税率」「女性の社会進出を応援するための規制」など、まるで政府による指示によって経済を運営できると考えているかのようです。

◆民間の裁量を増やす減税こそが経済を活性化させる

確かに戦後の日本やアメリカ、少し前の中国など重厚長大な重化学工業が産業の中心である時代において、経済において政府の果たす役割は大きかったと言えます。

また、現在においても莫大な投資が必要となるインフラ整備においても政府の果たす役割は大きいでしょう。

しかし、第三次産業が経済の中心となり、情報、知識が重要な生産要素となる社会では、同じようにはいかないでしょう。

経済は生産現場の情報や知識や創意工夫、消費者のニーズ、マインドによって動かされています。

そしてそれらの情報を政府は事後的に知ることはできますが、事前に知ることはできません。現場の人間や企業こそが新しい価値を生み出す主役です。

この現場を活かすことを中心にした政策が「消費税の減税」です。

政府の裁量を増やす「軽減税率」や「還付方式」ではなく、「消費税率を5%」に減税することこそ、民間経済を活性化させます。

政府は、自分で火をつけて自分で消すような「消費増税&軽減税or還付」という愚かな政策ではなく、消費税減税こそ経済を活性化させる唯一の政策だと知るべきです。

赤塚一範

執筆者:赤塚一範

HS政経塾スタッフ

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