このエントリーをはてなブックマークに追加

まさに安倍コベ車――消費増税と大規模補正という不可解な景気対策

◆不可解な景気対策、まさに安倍コベ車

安倍首相は今月の10日閣僚懇談会で麻生財務大臣と甘利経済再生大臣に消費増税による景気悪化を防ぐための景気対策の指針をまとめるように指示を出しました。

11日の産経新聞朝刊によると、今年度内に取りまとめられる補正予算は、低所得者に対して消費税率が平成27年度10月に税率が10%に上がるまで「一人当たり一万円」の現金支給する案を軸にして調整に入ったそうです。

また、12日の読売新聞の朝刊には消費税増税分である3%のうち約2.5%分に相当する5兆円規模の経済対策を実施する考えを示したとあります。

しかし、安倍首相の消費増税と景気対策のセットは間違っています。

増税は財政再建のために行うのでしょうが、財政再建と景気回復は同時には行うことはできません。車のアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものです。

本来の目的は景気回復、車のスピードを上げることです。しかし、アクセルとブレーキを同時に踏んだらどうなるでしょうか?

当然、スピードは出ないですし、下手すれば車は壊れるでしょう。景気回復のためにはブレーキを踏まないこと、つまり、消費増税の撤廃こそが重要です。

アベノミクスは基本的に正しいので、増税さえしなければGDPは増加し、税収も増え、財政再建は実現できるのです。

◆貯蓄しない方が貯蓄は増える?

ここで話は少し変わりますが、GDPを増やすためには、人々がモノを買うこと、つまり消費が増えることが不可欠です。

入ってきたお金を貯蓄せず、すぐに使ってしまう人が多ければ、世の中の消費は増えます。

人々がそれぞれ稼いだ収入の多くを使ったとしても、社会全体の貯蓄は変わらないどころか、増える可能性すらあるのが経済の面白いところです。

社会全体の貯蓄が増えれば、一人当たりの貯蓄が増えるということです。

逆に人々が倹約し、お金を使うことを控えると、逆に社会全体の貯蓄量は下がり、個人の貯蓄量も減る可能性があります。

なぜ、このような不思議なことが起きるかというと、人々があまり貯蓄しないで消費した方が、景気が良くなって収入が増えるのに対して、人々が消費しないで貯蓄ばかりしていると、景気が悪くなり、収入が減ってしまうからです。

これを経済学では「合成の誤謬(ごびゅう)」と言います。

個人としては正しいことであっても、社会全体では不都合が生じてしまうことを意味します。逆に、たくさん消費することでGDPを増やすことができるのです。

では、消費を増やすためにはどうしたら良いのでしょうか?

消費増税というのは、モノの値段を上げるか、企業の収益を圧迫し賃金が下がるということを通じ、国内の消費を減少させます。

短期的に最も効果のある景気対策は「消費増税撤廃」だと言えます。

◆社会的イノベーションを起こすリニア新幹線の威力

また、長期的な成長戦略としては東海道のリニア新幹線の早期開通が重要です。これについては、経済の生産面から考えてみましょう。

長期的には、生産面からイノベーションを起こし、新たな需要を創造することが重要です。

基本的に、生産はその社会がどれだけ「社会資本」、つまり、設備や制度を整え、人を育ててきたかによって強化されます。しかし、これはあくまで強化であって、既存の延長でしかありません。

シュンペーターによれば、イノベーションとは「新結合の遂行」であり、社会を飛躍的に発展させる原動力です。

リニア新幹線は既存の電車と違い、空中に浮いて走るためとても速く走ることができるのです。まさに、リニア新幹線は、飛行機と電車の特性を「新結合」された地上を走る飛行機なのです。

そのリニア新幹線に関して、9月12日の東京新聞では「リニア、環状道、都心直結鉄道などは、成熟した社会となり成長率も人口成長率も下がった今の日本には必要ない」という内容の記事が掲載されました。

人口減少社会において、このようなインフラ投資は無駄になるというのです。しかし、真実は全く逆です。

人口減少社会だからこそ、リニア新幹線などの超高速鉄道や首都圏へのインフラ投資が必要です。

このような投資が行われれば、新たな需要が創造され、投資機会が増え、社会の構造そのものが変化し、人々の生活を変えていきます。

馬車しかない時代に鉄道が建設されたように、また、電話しか通信手段がなかったところにインターネットが発明されたように、リニア新幹線も大きく社会構造を変化させるでしょう。

◆メガリージョン(巨大都市圏)をもたらすリニア新幹線

また、リニア新幹線が整備されれば、品川-名古屋間は現在の所要時間である94分から40分、品川-大阪間は138分から67分と半分以下の所要時間で結ばれます。

これは東京、名古屋、大阪が一つの都市圏となることを示しています。リニア沿線の都市を含めると7200万人規模という世界最大の都市圏が出来上がるのです。

リニア新幹線の開通は空間を縮める効果を持つのです。この「都市圏」ということが非常に大切なのです。

7200万人が広範囲にバラバラに住んでいたのでは経済効果はほとんどありません。人口が集中することで、経済効果は何倍にもなるのです。

ただ単に人口が過密するだけでは、かえって人が多すぎて不便になることもありますが、リニア新幹線であれば、十分な空間を確保しつつ、時間的な距離を縮めることができます。

リニアが開通することによる費用と便益は、東京-大阪間の費用は9.03兆円、それに伴う便益は13.2兆円と試算されています。(市川宏雄著『リニアが日本を改造する本当の理由』メディアファクトリー発刊)

また、1年あたりの便益は7100億円、1年あたりの生産額の増加は8700億円とされ、合わせて毎年1兆5800億円の経済効果を毎年生み出すと試算されています。

国家がリーダーシップを発揮し、こうした社会的にイノベーションを起こす重要なインフラを積極的に整備していくことで、国民の利益が最大化します。

幸福実現党の釈量子党首は声明「2020年夏季五輪の東京開催決定を受けて」において、2020年の東京五輪開催に合わせたリニア新幹線の整備を提言しています。⇒http://info.hr-party.jp/press-release/2013/2132/

安倍首相は、増税して無駄な景気対策をするくらいならば、増税を中止し、一刻も早くリニア新幹線を開通させるべく尽力すべきです。(文責・HS政経塾スタッフ 赤塚一範)

赤塚一範

執筆者:赤塚一範

HS政経塾スタッフ

page top