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あぁ無情。消費増税限りなし。

◆税と社会保障の一体化の本質

安倍首相は10月1日の記者会見で「消費税収は社会保障にしか使いません」と述べました。これは「税と社会保障の一体化」を踏まえての発言ですが実はここに大きな問題があるのです。

『税と社会保障の一体化』について「税と社会保障(福祉)が一体になったらどうなるか。福祉を増やせば、それに応じていくらでも税を増やすということになる」と渡部昇一氏が指摘しているように問題の本質はここにあります。

つまり福祉のためという名目であればいくらでも税金を取ることができます。国家が国民からいくらでも財産を奪うことができるということです。

10月3日の日本経済新聞には「消費増税だけで財政を安定化させるには30%超の税率が必要」という米アトランタ連銀の試算が出ています。

また、10月2日の産経新聞では青山学院大学の榊原英資教授は「10%の増税は当然」「将来はヨーロッパ並みに消費税の15~20%への引き上げも視野に入ってくる」としています。

また、嘉悦大学の高橋洋一教授はJ-CASTニュースにて「財務省はすでに消費税15%まで意図している」と警告しています。(8/8 J-CAST「高橋洋一の自民党ウォッチ」)

このように消費増税が実行される前に次の増税が議論されているのです。

国家が「社会保障や福祉のためにお金が必要である」と言えばだれも反対できません。福祉を「錦の御旗」にすれば簡単に増税ができるのです。

歴史を見る限りでは、議会の役割は国王が増税しようとするのを止めることだったはずですが、現在の国会議員の多くは増税やむなしといった考え方をしており本来の役割を果たしていません。

こうした事態を防ぐためには幸福実現党が提案しているように憲法の中に「安い税金」「小さな政府」といった理念を入れることが大切です。

◆社会保障の問題

そもそも問題の根源は、今の社会保障制度を導入してしまったことでしょう。特に賦課方式の年金制度の導入が問題です。

この制度は自由主義の権化であるハイエクが指摘しているように「それぞれの世代が先行世代に対して支払いを必要とするような制度は一度取り入れられてしまえば、永久的に存続しなければならないか、あるいは完全に崩壊にまかされることになる」かのどちらかになってしまうでしょう。

問題を解決するためには政府は増税によって制度を維持するか、年金を中心とした社会保障問題を白紙に戻して考えるかしかないのです。

日本は現行制度を維持するために国民負担率が(税と社会保険料の合計額が所得に占める割合)北欧並みの60%、70%へと上がっていく社会を選択するのかという岐路に立っているのです。

◆高付加価値路線の重要性

またこのような福祉国家型社会の問題点は将来の発展が抑制される可能性が高いということです。高所得者層は一般的に消費性向(所得からどれだけ消費するかという割合)が低くなると言われています。

そのため、消費性向の低い高所得者層から消費性向の高い低所得者層へ所得を再分配した方が社会全体の消費は増えると言う理論が所得再分配を正当化する一つの根拠となっています。

しかし、実はそういった高所得者層の存在が経済発展の原動力になるのです。高所得者層に買ってもらえるような高付加価値の商品やサービス、贅沢品を開発することで新たな需要が生まれ経済が発展し、低所得者の方々までもが豊かになる道が拓けるのです。

例えば、テレビや車などがそうでしょう。また一昔前まではパソコンも贅沢品でした。このように高付加価値商品が発展の牽引車になってきたという歴史があるのです。このように社会保障制度は将来の発展の抑制といったリスクを持つのです。

消費税の問題(1)

では消費増税の問題としてなにがあるでしょうか。ひとつは増税のタイミングが悪いということです。首相は増税の条件として消費者物価指数が上昇し景気が改善したと言っていますがこれは間違いです。

インフレにはコストが上昇してインフレになるコストプッシュ型のインフレと需要が大きくなってインフレになるデマンドプル型があります。

今の日本の状況は円安の影響を受けたコスト増によるインフレと金融緩和による需要増の影響を受けたインフレとが混ざった状態と言えるでしょう。本当はこのコストプッシュの影響を取り除いた指数を使わなくてはいけないのです。

このコストプッシュ型のインフレは不景気と共に現れることもあり、このインフレを景気回復の基準にしてはいけないのです。1970年代のオイルショックはこのコストプッシュ型のインフレが不景気を引き起こした代表的な例と言えます。

消費税の問題(2)

また、何度も言っていることですが税収は税率を上げたとしても増えるとは限らないという問題点があります。消費税自体は比較的安定した財源であることは間違いないのですが景気自体が悪化しては本末転倒です。

また日本のGDPの構成は6割が民間消費(290兆円)、1.5割が民間投資(73兆円)、2.5割が政府支出(121兆円)、純輸出(-10兆円)になっています。ここから見ればわかるように日本は国内での消費割合が高いのです。

ここで消費増税がされると、民間の消費が落ち込みます。そして民間消費が落ち込めば企業は将来を悲観して投資を控えてしまいます。民間消費と投資がGDPに占める割合が大きいので消費増税の悪影響が大きいのです。

安倍首相はここにきて経済政策に関して判断を間違えてしまいました。景気の腰折れを心配して5兆円規模の経済対策をするとのことですが、これは大きな政府へ向けて舵を切ってしまったということができるでしょう。

増税し社会保障を維持していくという流れの中には未来はないと言うことを訴え続けて参ります。(文責・HS政経塾スタッフ 赤塚一範)

赤塚一範

執筆者:赤塚一範

HS政経塾スタッフ

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